【第2回選考の優秀賞を発表】第三回「老後の日」フォトコンテスト 開催中!
2022年01月31日(月)
「毎日歩かなきゃ、どんどん足腰が弱っちゃうでしょ。だから歩いてるの」
H様はそう言うと、またスタスタと廊下を歩きだしました。
お伺いしたところ、H様は毎日必ず30分ずつ歩くようにしているとのこと。
ですが、世界を股にかけていたH様にとっては、この館内は狭すぎるのかもしれません。
そうなのです。
H様はご主人さまの仕事の関係で、世界数十ヶ国を渡り歩いてこられた方なのです。
「主人は家事は何にもできない人で、おなかも弱かったから、私が付いて行ってあげなきゃいけなかったの」
アメリカ、イギリス、ロシア、ドイツ、スウェーデン、ブラジル、中国などなど、おそらくH様の年代でこれだけ多くの国に行った経験がある方は、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
それも、今から50年、60年も前ですから、文化の違いに戸惑われることも相当多かったのではないかと思います。
そのようなH様に伺った外国で上手く生き抜く秘訣は、その国の「ありがとう」という言葉を覚えること、そして、大切な場所には着物を着ていくことだそうです。
「ありがとうって言われて嫌な気持ちになる人はいないし、着物を着ていけば、ちゃんと正装してきてくれたってわかるからね。着物を着て歩いていたら、子供たちにサインを求められたこともあるわよ」
交友関係の広かったH様のご主人さまに会うために、ご自宅まで訪ねていらっしゃる知人の方も数えきれないほどいらっしゃったのだとか。
「一番多かったのはスウェーデンの人だけど、他にも、しょっちゅういろんな国の人がうちに来ていましたよ」
H様は海外から訪ねてくる方がいらっしゃるたびに日本食を振舞われていたそうです。
「いつも午後の2時くらいに主人から電話があって、5時か6時に外国の人を連れて帰るからっていきなり言われて大変だったの。時間がないから、毎回大したものは用意できなかったけどね」
さて、ではどんなものを振舞うと、外国の方々は喜ばれたのでしょうか。
「慣れないものを食べさせて困らせたくなかったから、刺身は絶対に出さなかったね。まずは焼き魚、あとは胡麻和えね。セサミって言ったら喜んで食べてくれたわ。あと、茶碗蒸しだね。どこの国の人も茶碗蒸しは美味しいって言ってくれた」
H様はさらにこう付け加えました。
「でも、困ったことがあってね、スウェーデンって夏は白夜になるでしょ。だから、人の家に招かれたら12時までは帰らないっていうのが礼儀みたいでね。私はもう眠くて眠くてしょうがなかったのよ。お客さんが帰ったあと、主人はすぐに寝てたけど、私は後片付けしなきゃいけないから夜中の2時とか3時まで眠れなくてねえ」
礼儀でもあったのかもしれませんが、きっとH様のおもてなしが心地良くて、なかなか帰る気になれなかったのではないでしょうか。
これ以外にもH様は数多くの面白いエピソードを披露してくださり、聞いている私もずっとワクワクしながらお話を伺っていました。
長くなってしまいますので、割愛させていただきますが、そのエピソードをすべて書ききれないのが、本当に残念でなりません。
「じゃあ、もうちょっと歩こうかしら」
H様は話を終えると、そう言って散歩を再開されたのでした。
このようなすごい話をサラッとされて、何事もなかったかのように日常のルーティーンに戻っていくH様、改めてすごい方がいる場所で働かせていただいていることを感じた一日でした。
本日は、サービススタッフの鈴木がお送りいたしました。
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